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コアリング作業で、古くなった床土を入れ替える

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芝生の下の古い土を抜き取り、新しい土を入れるコアリング作業 コアリングとは、芝生の下にある「古い土」を抜き取り「新しい土」を入れる芝生のエアレーションの一つです。土壌を改良し芝生が育ちやすい環境を作るための芝生の手入れのひとつです。 徐々に […]

コアリング 芝生の手入れ
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芝生の下の古い土を抜き取り、新しい土を入れるコアリング作業

コアリングとは、芝生の下にある「古い土」を抜き取り「新しい土」を入れる芝生のエアレーションの一つです。土壌を改良し芝生が育ちやすい環境を作るための芝生の手入れのひとつです。

徐々に固くなっていく芝生の床土

芝生を長く育てていると、芝生が人によって踏まれることで徐々に土壌が固くなっていきます。固くなった土では、芝生の根や茎が十分に成長することができません。

しかし、芝生を植えてしまうと、芝生の下の床土を入れ替えることはできません。そこで、この状態を改善するために人の手によってエアレーションを行う必要があります。

コアリングはエアレーションの作業の一つ

エアレーションには様々な作業方法がありますが、その中の一つが床土の一部を抜き取り新しい土を入れる「コアリング」という作業方法です。コアリングは毎年少しずつ土を入れ替えることで、長くに渡って新鮮な土壌を維持することができる、芝生ならではの管理方法です。

このページではコアリングの目的、効果、方法、時期、道具などを紹介していますので、芝生を元気な状態で長く育てたい方は、参考にしてください。

コアリングとは

コアリング

古い土を抜き取り、新しい土を入れるコアリング

先程も述べたように、数多くあるエアレーションの作業方法の中でも、コアリングは、床土の一部を抜き取り新しい土を入れることができる唯一の方法です。

芝生に、刃を突き刺して穴を開けるだけのスパイキングでは、古い土を物理的に抜き出すことができないため、コアリングとスパイキングを比較すると、コアリングの方が効果が高い方法となります、

まず最初に、コアリングのポイントについてまとめておきます。

コアリングのポイント
  • ローンパンチと呼ばれるコアリング専用の道具を使用する
  • 固くなった土を抜き出し、新しい土を入れる事ができる
  • 毎年少しずつ入れ替えることで、常に新鮮な土壌を維持できる
  • 高麗芝の場合は、3月末から4月中旬に作業をする
  • 回数を増やしたい場合は、春に加えて秋にも作業を行う。
  • コアリングで空いた穴には、必ず目土や目砂を入れる
  • コアリングはスパイキングより効果は大きい

それでは、ここからはコアリングについて詳しく説明していこうと思います。

コアリングの目的

芝生

綺麗な芝生を育てるためには、とても重要なコアリング。

コアリングの目的は、芝生にとって良くない土壌を改善して、芝生を植えた時の土壌のような健全な状態を取り戻し、芝生が育ちやすい土壌を維持することにあります。

芝生は他の農作物と違って一度植えてしまうと下の土を耕すことができません。そのため、長年育てていると芝生の下の土が徐々に固くなってしまいます。固くなった土壌では、通気性が悪くなり芝生が酸素不足になったり、透水性が落ちたりします。

また芝生の老廃物であるサッチの蓄積が多くなり、排水性が悪くなったり、湿気が原因による病原菌や害虫の温床ともなってしまいます。

芝生を植えて年月が経過すると・・・
  • 人に踏まれるなどが原因で、芝生の床土が固くなり、通気性や透水性が低下する。
  • 芝刈り時の刈カス、枯れた芝生、落ち葉などのサッチ(有機物の層)が堆積する。
  • 芝生の根や茎が密集して、新しい根や茎が成長しにくくなる。

上記のように、芝生を植えて年月が経過すると、芝生にとって良くない土壌環境になり、通気性、排水性の良い土壌を好む芝生は徐々に育ちにくくなります。

この問題を改善するために、コアリングによって固くなった土の一部を抜き出して、そこに目土を入れることで土壌を改良します。

コアリングによる土の入れ替えでは、一度に全部の土を入れ替えることは不可能ですが、毎年少しずつ土を入れ替えることで、やがですべての土を入れ替える事ができます。

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コアリングの効果

コアリングには芝生の成長を促す効果があります

コアリングは、古くなって老朽化した土を、新たな目土や目砂に入れ替えることで、固くなった土壌の改善、土壌の排水性向上、土壌の通気性向上に効果があります。

またサッチを物理的に取り除く作業により、サッチの分解を促進したり、病気や害虫を予防する効果もあります。

このように、古い土やサッチを取り除くことが出来る「コアリング」は、ただ芝生に穴を空けるだけの「スパイキング」に比べて、高い効果を得ることができます。

コアリングの効果
  • 固くなった床土を柔らかくすることで、芝生の成長を妨げないようにできる。
  • 固くなった床土を柔らかくすることで、排水性を良くする。
  • 固くなった床土を柔らかくすることで、通気性を良くする。
  • 古い根を切ることで、新しい根が生えてきやすい環境をつくる。
  • 病気や害虫の温床となるサッチ(有機物の層)を取り除き、病害虫の予防ができる。
  • 目土を入れることで、サッチ(有機物の層)の分解を促すことができる。
  • 目土を入れることで、土壌の微生物の活動を促すことができる。

コアリングとスパイキングの違い

エアレーション

コアリングの方がスパイキングよりも効果が高い

芝生の手入れを経験していく中で、「更新作業」という言葉を知り、その中でもよく聞くのが「エアレーション」という言葉です。

多くの人にとって「エアレーション」は、芝生に穴を空ける作業だと理解することができますが、エアレーションの為の「コアリング」や「スパイキング」はどちらも芝生に穴を空ける作業なので、この2つの作業の何が違うのかが、いまいち分かりづらいと思います。

そこで「コアリング」と「スパイキング」の違いについて簡単に説明します。

スパイキングとは?

芝生に穴を空けるだけのスパイキング

芝生に、ローンスパイクの刃を突き刺して穴を開けるだけのエアレーションを「スパイキング」と呼びます。

スパイキングは、ローンスパイクというスパイキング専用の道具を使います。コアリングとは違い、芝生に穴を空けるだけとなり、古い床土を抜き出すことはできません。

コアリングとは?

古くて固くなった土や、堆積したサッチを取り除くことができるコアリング

ローンパンチの先端についたパイプ状の刃を芝生に突き刺して、芝生の下の土や根を取り出すエアレーションを「コアリング」と呼びます。

コアリングは、ローンパンチというコアリング専用の道具を使います。スパイキングとは違い、古くて固くなった土や、堆積したサッチを取り除き、新しい土と入れ替える事ができるので、より徹底した芝生管理を行うには、コアリングの方が向いていると言われています。

エアレーションにおけるコアリングとスパイキングの違い

作業内容コアリングスパイキング
固くなった床土を柔らかくするできるできる
床土を柔らかくして排水性を良くするできるできる
床土を柔らかくして通気性を良くするできるできる
古い根を切り芝生が成長しやすい環境を作るできるできる
目土を入れサッチの分解を促すできるできる
目土を入れ土壌の微生物の活動を促すできるできる
サッチを物理的に取り除くできるできない
固くなった土を物理的に取り除いて入れ替えるできるできない
詰まった根を物理的に取り除くできるできない

上記のように、固くなった土、サッチ、古くなった根を物理的に取り除いて、新しい土に入れ替えることができることが、コアリングがスパイキングに比べて優れている点です。

ただし、サッチを物理的に取り除く方法として「サッチング」という方法もあるので、サッチの除去は「サッチング」で行い、土を柔らかくするのは「エアレーション」で行うという選択肢もあり、必ずしも「コアリング」が最適だとは言い切れません。

サッチングとは

サッチングとは、芝刈りの時に回収できなかった「刈りカス」や、枯れて腐った芝生の葉を取り除く、芝生の手入れの一つです。一般的な方法は、熊手やレーキを使って、芝生の上から堆積したサッチを掻き出す方法です。

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コアリングの時期

コアリングは、芝生の成長期にするのが基本です。

コアリングは芝生に穴をあけるため、芝生にかなりの負担をかけることになります。そのため、暖地型芝生の場合は成長期である春から初夏にかけて、寒地型芝生の場合は春と秋の比較的回復の早い時期に行うことが良いとされています。

高麗芝を植えている芝生愛好家の方は、春先の芝生が成長を始める頃にコアリングを行うことが多いようです。私も高麗芝を植えていますので、新芽が出始める4月前半に毎年コアリングをしています。

私の場合は基本的に、サッチング、スライシングなどの更新作業は、年に一度だけこの時期しか行いませんが、コアリングは、芝生の状態が悪い時に改善を促すために、必要に応じて随時行っています。

コアリングの時期

高麗芝の場合は、3月末〜9月の成長期が適しています。
寒地型西洋芝の場合は、3月中旬〜5月と9月中旬〜10月中旬が適しています。
夏の更新作業は避けましょう

コアリングの頻度

コアリングの頻度は年に1~2回が目安

コアリングの頻度は、床土の固さや、芝生の生長具合によって異なりますが、目安として年に1~2回ぐらいとなります。ただし、床土が固まりやすい所などは、必要に応じて回数を増やしてもかまいません。

コアリングの注意点

夏のコアリングは避けましょう

コアリングは芝生を痛めつけて負担をかけることになるので、暑さで芝生が弱っている暑い時期は避けたほうが良いでしょう。

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コアリングの道具

エアレーション

コアリングにはローンパンチという専用の道具が必要

芝生のコアリングには、ローンパンチという芝生に穴を空ける専用の道具が必要となります。ローンパンチは他の道具で代用できないので、持っていない場合は、購入する必要があります。

ローンパンチが土を抜き取る仕組み

先端の中空のパイプで土を抜き取る

ローンパンチは上部に手で持つための「ハンドル」が付いています。そして先端には古い土を抜き出すための「中空のパイプ状」の突起が数本付いています。

先端のパイプが中空になっていることで、芝生に突き刺した時に、その部分の古い土を取り出すことが出来ます。

脚で踏み込みやすいように「ステップ」が付いているので、足で踏むことで、体重をかけて芝生に穴を開ける事ができます。

ローンパンチの価格と購入方法

2,000円前後の商品が主流

ローンパンチはホームセンターや園芸店で2,000円程度で販売されているので、手軽に購入することができます。

ただし、ホームセンターなどで売られているローンパンチは、比較的安いタイプの商品が主流となっており、高性能、高価格のローンパンチを手に入れる場合は、インターネット通販などを使って購入することになります。

芝生用スパイク&パンチ

「穴あけ用のパンチ」と「スパイク用の刃」を交換することで、コアリングとスパイキングの二通りの使い方ができる商品。

芝カット&パンチ

「穴あけ用のパンチ」と「スパイク用の刃」の両方の刃が先端に付いている「芝カット&パンチ」という商品。

↓ローンパンチについては下記ページで詳しく紹介しています

バロネス タインエアレーター

良い素材を使い、効率的にコアリングができる道具

バロネスというメーカーが販売している「タインエアレーター」という商品も、ローンパンチと同じ用途で使われる道具です。

価格は20,000円以上となっており、他のローンパンチと比べて思いっきり高価ですが、土の抜けがローンパンチとは格段に違う、高性能の商品です。

予算に余裕がある芝生愛好家の方は、試してみる価値はあると思います。

↓こちらのオンラインショップで購入できます。

↓バロネス タインエアレーターについては下記ページで詳しく紹介しています

電動ドライバーを使ったコアリング

コアリング

固い床土でも簡単に穴が開けられる

電動ドライバーを使ったコアリングは、他の芝生愛好家が行なっていたのをSNSで知ったコアリングの方法です。ローンパンチを使う代わりに、電動ドライバーにドリルを取り付けて芝生に穴を空けていきます。

ローンパンチで穴を空けるのとは違い、力も必要なく、スピーディーに芝生に穴を空けることができます。

我が家の芝生は部分的にすごく固い所があり、今まではローンパンチで簡単に穴を空けることが出来ずにいました。

勢いよく体重を欠けたり、前後左右にグリグリと動かしたり、雨上がりの日に作業をするなどして、やっと穴を空けられる状態だったのですが、この電動ドライバー+ドリルによるコアリングを試して見た所、簡単に芝生に穴を空ける事ができました。

アースドリルを使うと、もっと簡単に作業ができる

本来なら土に穴を空けるための「アースドリル」を使うと、もっと効率よく穴を空ける事ができるらしいのですが、今のところは、木工用のドリルビットでも十分効率よく作業を出来ています。

ただ、この方法は前かがみでの作業になるため、芝生全面のコアリングにした場合、腰に負担がかかりそうなので、基本的にはローンパンチでコアリングを行い、床土が固い場所に限り電動ドライバーでのコアリングで対応しようと考えています。

尚、穴を空けること自体は電動ドライバーを使いますが、穴を空ける前の芝刈りや穴を空けた後の目土入れ、水やりなどはローンパンチと同じ作業を行います。

コアリングの作業方法

ローンパンチの使い方

コアリングはただ芝生に穴を空けるだけではありません

コアリングの作業は基本的に下記の流れで行います。

コアリングの流れ
  1. 作業をしやすいように芝生を低刈りする
  2. ローンパンチで芝生に穴を開ける
  3. 抜き取った土を回収する
  4. 土を抜き取って出来た穴に目土もしくは目砂を入れる
  5. .乾燥を防ぐためにたっぷりと散水する

注意しておきたいポイントは4番目の「土を抜き取って出来た穴に目土もしくは目砂を入れる作業」です。コアリングによって開けた穴によって、芝生の根が直接空気に触れてしまい芝生が乾燥しやすくなるため、乾燥を防ぐために「目土入れ」を必ず行う必要があります。

1.芝生を短く刈る

作業効率を上げるために芝生を短く刈る

芝生が伸びている場合は、コアリング作業の邪魔になるので、短めに芝生を刈ります。刈高の調整が出来る芝刈り機は、刈高設定を10m〜15mmにして、いつもより短めに刈り込んでください。※刈高の調整幅は芝刈り機によって異なります。

短めに芝生を刈ることで、目土を入れる際にも効率的に作業が出来るようになります。

2.ローンパンチで穴を開ける

ローンパンチを使って、芝生の下の土を抜き取ります

  1. ローンパンチ上部のグリップを両手で持ち、土を抜き取る箇所に垂直に立てる。
  2. ステップに片足を乗せて体重をかけ、先端のパイプを芝生に突き刺す。
  3. 先端のパイプが突き刺さることで、芝生の下の土や根が、パイプの上部から押し出されてきます。

穴の間隔は5cm〜20cmを目安にします。土を抜き取る間隔はなるべく狭いほうが、コアリングの効果を高めることができますが、極端に狭いと、芝生の見栄えが悪くなってしまいますので、芝生の状態にあわせて間隔を調整してください。

3.抜き取った土を回収する

トンボ、レーキ、ほうきなどで古い土を回収

抜き取った土をそのまま放置すると目土入れなどの作業に邪魔になるので、トンボやレーキ、ほうきなどを使って回収します。

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4.抜き取った穴に目土を入れる

芝生用の目土や目砂を入れる

ローンパンチで土を抜き取った後に出来た穴には、芝生の乾燥を防ぐ為に芝生用の目土や目砂を入れます。穴を空けてそのままだと、芝生の根が空気に直接触れてしまい乾燥してしまうことになり、芝生にとってよくありません。

また、新たに芝生用の目土や目砂を入れることで、土壌の活性化を行う効果が期待できます。

5.たっぷりと散水

乾燥を防ぐために必ず散水

コアリングの作業後は芝生が乾燥しやすいので、たっぷりと散水して作業を終了します。また、しっかりと水やりすることでコアリングによって出来た穴に、目土や目砂を入れることが出来ます。

↓ローンパンチの使い方については、下記ページでも紹介しています

コアリングはどれぐらいするのが良いのか

1年で5%〜10%の土を入れ替える

コアリングで土を入れ替える場合、どれくらいの量を入れ替えるのがベストなのでしょうか?ゴルフ場を例にして考えてみたいと思います。

コアリングはゴルフ場でもよく行われる芝生の管理方法です。そして、全米ゴルフ協会では、コアリングで抜き出す年間の穴の面積が、芝生の面積の20%であることを推奨しています。

さすがに家庭用の芝生を、年間で20%の面積を入れ替えることは現実的ではないと思います。そこで、5%〜10%を目安にしてはいかがでしょうか。

例えば、年間で入れ替える面積が10%であれば、10年をかけて全ての土を入れ替える事ができる計算になります。

コアリングのまとめ

コアリングは必ず良い結果として現れます

このページをお読みいただき、コアリングについて理解していただけましたでしょうか?

芝生という植物は他の植物と違い、植えてしまうとその下の土は耕すことが出来ないので、その代わりに行うのが、このページで紹介したようなコアリングなどのエアレーションです。

大切な芝生に穴を空ける作業ではありますが、綺麗な芝生を長く楽しむためには、必要なお手入れになります。

コアリングは、体力的にはとても大変な作業なので、一度にすべての作業を終わらすのではなく、春〜初夏にかけて少しずつ進めても大丈夫です。

長い目で見た場合には、必ず良い結果として現れてくるので、コアリングをコツコツとして、芝生ガーデニングを楽しんでください。

↓コアリングの道具はこちら


↓エアレーションについてはこちらもご覧ください。

この記事を書いた人

庭で芝生を育てる芝生大好きのお父さんです。育てている芝生の種類は「高麗芝」植えてから12年になります。芝生を植えた時に手伝ってくれた子どもたちは大きくなり、今では芝生に興味を示してくれず、仕方ないので一人でコツコツと芝生の手入れをしています。週末は芝生の管理に追われる芝奴隷です。

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