微生物を使って芝生のサッチを分解する「サッチ分解剤」
芝生を長く育てていると、必ず直面する問題がサッチの堆積です。
堆積したサッチは、芝生の通気性と水はけを悪くし病害虫の原因となり、芝生に悪影響を与えます。そのためにサッチを取り除く「サッチング」という作業を定期的に行う必要があります。
この「サッチング」という作業はとても疲れる作業です。サッチングは「熊手などを使って手作業で掻き出す」方法が主流ですが、芝生の手入れの中でも一番疲れる作業といっても過言ではありません。
しかし、サッチ分解剤を使用すれば、散布するだけでサッチを分解することができます。
このページでは、サッチの除去を楽にしてくれるサッチ分解剤の効果、使用方法、使用する時期などを紹介しています。手作業でのサッチングが辛いと思っている人は、是非参考にして取り入れてください。
サッチングとは
年1回のサッチングで、積もったサッチを取り除く
芝生に堆積するサッチとは?
まずは、サッチとは何かを知りましょう。
サッチ分解剤を紹介する前に、まずはサッチについて説明をしたいと思います。(サッチについて既に知っている方は、この項目を飛ばして頂いても大丈夫です。)
サッチとは、「枯れた芝生」や「芝刈り時の刈りカス」が堆積した有機物のことを言います。サッチを放置しておくと、芝生の水はけや通気性が悪くなり、病害虫の原因となったり芝生の成長を妨げたりと芝生に悪影響を与えます。
サッチが堆積すると芝生の成長を妨げるので、定期的に取り除きましょう。
このサッチを取り除く作業は「サッチング」と呼ばれており、サッチングには主に3つの方法があります。
手作業によるサッチング
サッチングの最も一般的な方法です。熊手やレーキを使って芝生からサッチを掻き出します。力加減にコツが必要なことや、前かがみの姿勢になりやすく腰に負担がかかる方法です。
サッチングマシンによるサッチング
サッチを自動で書き出してくれる「サッチングマシン」と呼ばれる道具があります。RYOBIの芝刈り機にサッチング刃のアタッチメントを使う方法や、キンボシの電動ローンコームなどが有名です。サッチング作業は圧倒的に楽になりますが、購入費用がそれなりに必要となります。
サッチ分解剤によるサッチング
このページで紹介しているサッチングの方法です。微生物を使ってサッチを分解する「サッチ分解剤」という商品を使ってサッチを取り除きます。効果が出るまでに時間がかかりますが、低コストで楽にサッチングが出来るオススメの方法です。
このページでは「サッチ分解剤によるサッチング」の方法を紹介しています。手作業によるサッチングについて詳しく知りたい人は、下記のページをご覧ください。
サッチ分解剤の効果
サッチ分解剤の効果は主に3つあります。散布するだけで、土壌の改良、病気の予防、肥料の効果アップなどの効果を得ることができます。
このように、サッチ分解剤を使用することで、芝生が成長しやすい環境を作ることができます。
サッチ分解剤がサッチを分解する仕組み
微生物が出す「分解酵素」でサッチを分解
サッチ分解剤は、微生物の力を使ってサッチを分解してくれますが、実は微生物がサッチを分解しているのではなく、微生物が出す「分解酵素」によってサッチを分解しています。
酵素は植物が育つ時は「合成酵素」として植物の成長を助け、枯れた植物に対しては「分解酵素」として働きます。この分解酵素を微生物が少しずつ長くだしてくれるので、数ヶ月に渡ってサッチ分解の効果が持続するのです。
サッチ分解剤は数ヶ月に渡って効果を発揮します
分解酵素を直接散布したほうが効率が良さそうに思いますが、効果が一時的となってしまうのと、使い方が難しいために一般での使用には向いていません。
私たちが入手できるサッチ分解剤は、微生物を使った商品が主流で、微生物が出す酵素を利用することで、濃度や使用量などで失敗すること無く、安心して使うことが可能となっています。微生物を使うことにより、長期間効果を維持できることもメリットの一つです。
なお、サッチ分解剤については多くの商品が販売されていますが、バチルス菌という納豆菌の一種を使っている商品が一般的です。
サッチ分解剤を使う時期
微生物が活動する温かい時期に使用するのが基本です。
サッチ分解剤は微生物が出す分解酵素を使ってサッチを分解する仕組みのため、微生物が活動する時期に散布するのが基本となります。
微生物によって活動する気温は違いますが、一般的には5~10℃で微生物が活動を始め、もっとも活発に活動するのは、20~30℃ぐらいとなります。
私が使っている「イデコンポガーデンEV」というサッチ分解剤の場合は「3月中旬~10月中旬」が最も散布に適した時期となります。
ただし冬になっても、微生物が全く活動しないわけではなく、冬でも温かい日は微生物も多少は活動するため、少しずつではありますがサッチの分解も進行します。
尚、生物の活動には水分も必要になるため、芝生が乾燥しないように散水も心がけてください。
イデコンポガーデンEVは、3月中旬~10月中旬に散布しましょう。
サッチ分解剤の使い方
散布をするだけでサッチ分解の効果を発揮します。
サッチ分解剤は基本的に散布をするだけで効果を発揮します。
ただし、サッチ分解剤も多くの商品があり、商品によって使い方が微妙に異なると思いますので、説明書などを確認して使用してください。
ちなみに「イデコンポガーデンEV」の場合は、3月中旬~10月中旬の間に2回から3回を目処に散布します。1回の散布量は1㎡あたり30gが目安です。
芝生の葉には分解されにくい繊維質が多く含まれているので、すぐに効果が現れるわけではありません。散布後3ヶ月〜6ヶ月位をかけて、じわじわとサッチ分解の効果を発揮します。
イデコンポガーデンEVの散布目安
使用場所 | 芝の種類 | 散布頻度 | 使用時期 | 1回の使用量/㎡ |
---|---|---|---|---|
ご家庭の芝生 | すべて | 年に2~3回の散布が目安 | 3月中旬~10月中旬 | 30g/㎡ |
サッチ分解剤の使用例
私が使っている「イデコンポガーデンEV」の使用例をご紹介します。イデコンポガーデンEVは2種類のバチルス菌が入っていて、よりサッチ分解の効果が高くなっています。
インターネットで商品を購入
イデコンポガーデンEVは、出光テクノマルシェというオンラインショップで購入しました。イデコンポガーデンは出光が開発している商品なので、おそらく公式オンラインショップだと思われます。
購入はこちら
出光テクノマルシェ
商品が届いたのでさっそく使ってみました。
商品が届いたのは10月でした。これから寒くなり微生物も活動しない時期に入りますが、少しでも効果があることを期待して散布します。散布の前には芝刈りをしておくと良いでしょう。
袋の中に固体肥料のようなペレットが入っていました。このなかに酵素を出す2種類のバチルス菌が含まれているそうです。
散布の方法は簡単で、手を使ってムラ無く散布をするだけです。1平方メートルあたり30gを目安に散布します。肥料散布機を使用しても良いのですが、手で掴んでテキトーに散布します。
私の家の芝生の面積は約15㎡くらいです。 今回購入したのは、イデコンポガーデンEV 3kgの商品だったので余ってしまいましたが、年に2〜3回散布することを考えると、ちょうど良い量かなと思います。
ちなみに未開封だと3年の使用期限があります。開封後は1年以内に使い切ることが推奨されています。
サッチ分解剤のまとめ
手軽で便利なサッチ分解を使って、いつまでも綺麗な芝生を維持しましょう。
このページをご覧いただいた方は、サッチ分解剤のメリットを十分理解してもらえたと思います。ページの中で紹介したように、サッチ分解剤は芝生のサッチングを楽にしてくれるとても便利な商品です。
サッチは病原菌の原因となったり成長を妨げたりと、芝生にとって大敵です。今まで、サッチング作業が辛くてサボっていた方も、このサッチ分解剤なら手軽にサッチを取り除く事ができ、密度の高い綺麗な芝生に育てることができます。
多くのメーカーから、たくさんの種類のサッチ分解剤が販売されているので、自分の使い方に合ったものを見つけてください。