近年、ペットを家族の一員として迎え入れる家庭が増えています。ペットとの生活をより豊かにするために、庭に芝生を敷きたいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、芝生とペットの相性は良い面ばかりではありません。犬や猫は、芝生に思わぬ影響を与える可能性があります。
この記事では、ペットがいる家庭で芝生を管理する際の注意点と対策をまとめました。愛犬と芝生の上で安全に、そして快適に過ごすためのヒントが満載です。
ペットが芝生に与える影響
ペット、特に犬は、活発に動き回るため、芝生に様々な影響を与えます。 例えば、舗装材と比べて、天然芝や人工芝はクッション性が高く、犬が気持ち良く動き回れるというメリットがあります。しかし、一方で、犬の足腰への負担を軽減できる反面、走り回ったりすることで芝生を踏みつけ、傷めてしまうこともあります。 特に、成長期の芝生や、雨などで地面が柔らかくなっている時は注意が必要です。
具体的には、以下の様な点が挙げられます。
- 足で芝生を踏みつけ、傷める 犬が走り回ったり、遊んだりすることで、芝生が踏みつけられ、傷んでしまうことがあります。特に、成長期の芝生や、雨などで地面が柔らかくなっている時は注意が必要です。
- 尿による変色や枯れ 犬の尿には窒素が多く含まれており、高濃度の液体肥料のようなものです。 適量であれば肥料になりますが、過剰な窒素は芝生を枯らしてしまう原因となります。また、尿によって土壌のpHバランスが崩れ、変色を起こすこともあります。
- 掘り返し 犬の中には、穴を掘る習性を持つ犬もいます。 好奇心やストレスから、芝生を掘り返してしまうことがあります。
- 糞による被害 犬の糞は、放置すると芝生を汚染し、病気を引き起こす可能性があります。また、美観を損ねる原因にもなります。
尿による芝生の変色や枯れの原因と対策
犬の尿による芝生の変色や枯れは、多くの飼い主が頭を悩ませる問題です。主な原因は、尿に含まれる窒素分です。窒素は植物の成長に欠かせない栄養素ですが、過剰になると肥料焼けを起こし、芝生を傷めてしまいます。 例えば、ある飼い主は、愛犬が芝生で排尿した後、その部分が黄色く変色してしまったことに気づき、悩んでいました。
対策としては、以下の方法が考えられます。
- 排尿直後に水をかける 犬が排尿した直後に、その場所にたっぷりと水をかけることで、尿を薄め、窒素濃度を下げることができます。 前述の飼い主は、この方法を試したところ、変色が目立たなくなり、芝生も徐々に回復してきました。
- 専用のトイレスペースを作る 庭の一部に犬専用のトイレスペースを設けることで、芝生への被害を最小限に抑えることができます。 トイレスペースには、砂利や人工芝などを敷くと良いでしょう。
- 芝生の種類を選ぶ 西洋芝は犬の尿に弱いため、高麗芝など、尿に強い種類の芝生を選ぶことも有効です。
- 人工芝を検討する 人工芝は、犬の尿による変色や枯れの心配がありません。 また、天然芝と違い、水たまりや砂埃が発生することもありません。 ただし、夏場には表面温度が高くなるため、注意が必要です。 また、犬が人工芝の葉を食べてしまう可能性は低いですが、高密度の人工芝を選ぶことで、葉が抜けにくく、より安全です。
ペットが芝生を掘り返してしまうのを防ぐ方法
犬が芝生を掘り返してしまうのは、以下のような原因が考えられます。
- ストレスや退屈 運動不足や刺激の少ない環境にいると、犬はストレスを感じ、穴掘りを始めることがあります。
- 本能的な行動 犬の祖先は、穴を掘って巣穴を作ったり、獲物を隠したりしていました。そのため、穴掘りは犬の本能的な行動の一つです。
- 涼しい場所を求めて 夏場など、地面が熱い時は、涼しい場所を求めて穴を掘ることがあります。
- 埋める習性 犬の中には、おもちゃや骨などを埋める習性を持つ犬もいます。
対策としては、以下の方法があります。
- 十分な運動と遊び 毎日十分な運動をさせ、おもちゃなどで遊んであげることで、ストレスを解消してあげましょう。
- 掘り返しても良い場所を作る 庭の一部に、犬が掘り返しても良い場所を設け、そこに犬を誘導しましょう。
- 掘り返し防止グッズを使う 市販の掘り返し防止グッズを使うことも有効です。
- 人工芝を検討する 人工芝は、掘り返される心配がありません。ただし、しっかりと固定する必要があります。
- 造園の工夫 地面を掘り返させない対策として、人工芝の施工に加えて、ブロック塀などを設置することで基礎部分を保護することもできます。
人工芝:メリットとデメリット
ここまで、いくつかの対策として人工芝を挙げてきました。人工芝は、ペットと芝生が共存する上で、多くのメリットをもたらします。
- 耐久性 犬の遊びや排泄物による影響を受けにくく、長持ちします。
- 安全性 農薬や除草剤を使用する必要がなく、ペットにとって安全な環境を提供できます。
- 清潔さ 泥や土、寄生虫などが付きにくく、清潔な状態を保てます。
- メンテナンス 天然芝のように水やりや芝刈りなどの手間がかかりません。
しかし、人工芝にもデメリットはあります。
- 夏場の高温 夏場には表面温度が上昇し、ペットの肉球を火傷させてしまう可能性があります。 対策として、日陰を作る、打ち水をするなどの工夫が必要です。
- 施工不良による怪我 人工芝の施工が不十分だと、剥がれや隙間が生じ、ペットが怪我をしてしまう可能性があります。
ペットに安全な芝生の肥料や除草剤
ペットがいる家庭では、芝生の肥料や除草剤を選ぶ際に、安全性に特に注意する必要があります。
肥料
ペットに安全な芝生の肥料として、以下の様なものが挙げられます。
- 有機100%の肥料 化学物質を含まないため、ペットが口にしても安心です。一般的に、有機肥料は、土壌微生物を活性化させ、土壌環境を改善する効果も期待できます。
- ペットが食べても無害な成分配合の肥料 万が一、ペットが肥料を口にしても、健康被害の心配が少ない肥料です。
製品名 | 特徴 | 安全性 |
---|---|---|
ハイポネックスジャパン「ハイポネックス 芝生の液肥」 | 500倍に希釈して使用する複合肥料。肥料の三要素(チッ素・リン酸・カリ)と、葉緑体の元になるミネラル配合。地下深層水から抽出した天然有機物「かん水フルボ酸」配合。 | 成分については記載なし |
レインボー薬品「シバキープシャワー液肥 5L」 | 希釈なしで使える液状の複合肥料。肥料の三要素の他、「鉄」や「カルシウム」などの微量要素配合。キャップ部分がシャワーになっており、手を汚さずに散布可能。 | 成分については記載なし |
メネデール「芝肥料 原液 1L」 | チッ素・リン酸・カリの三要素に微量要素をプラスした液状肥料。500~1000倍に希釈して使用。葉や茎の生育に関わる「チッ素」と、葉緑素の合成をサポートする「鉄」が強化されている。 | 成分については記載なし |
朝日工業「芝生の肥料 2kg」 | チッ素・リン酸・カリが8:8:8の割合で配合された細粒状の化成肥料。有機成分が含まれている。 | ペットに無害な成分配合 |
日清ガーデンメイト「100%有機芝生の肥料 5kg」 | チッ素・リン酸・カリが5:5:3の割合で配合。成分の100%が有機肥料。根張りをよくする「フミン酸(腐植酸)」配合。 | 赤ちゃん、ペットが万が一口に入れても安心 |
バロネス「芝生の肥料 5kg」 | 遅効性のIBチッ素を使用。りん安、硫安をチッ素に配合。 | 犬や猫などの動物が食べても無害な成分配合 |
あかぎ園芸 100%有機 芝の肥料 | 家庭菜園にも使え、醗酵鶏ふん・菌体肥料・二化鉄をブレンドした肥料。 | 有機100% |
【送料無料・全国配送】芝 肥料 700g | 赤ちゃんも裸足で歩けるくらい安全な100%の有機肥料。 | 赤ちゃんも裸足で歩けるくらい安全 |
除草剤
除草剤は、ペットにとって有害な成分が含まれている場合があるため、注意が必要です。
- ペットに安全な成分の除草剤 人やペットに影響の少ない成分で作られた除草剤を選びましょう。例えば、お酢を主成分とした除草剤などがあります。
- 散布後、ペットが芝生に入るまでの時間を守る 除草剤を散布した後は、ペットが芝生に入るまでの時間を、製品の指示に従って守りましょう。
製品名 | 特徴 | 安全性 |
---|---|---|
レインボー薬品 シバキープⅡ 粒剤 | メヒシバやスズメノカタビラといったイネ科の雑草や、ヤハズソウなどの広葉雑草、クローバーやスギナを含む多年生広葉雑草まで、幅広く対応。 | 成分については記載なし |
保土谷UPL 芝生用除草剤 グリーンアージラン液剤 | イネ科雑草や広葉雑草に強力な効果を発揮する、茎葉処理型の除草剤。撒いた後に地表で固まらず、地中に浸透すると比較的短時間で分解。 | 成分については記載なし |
フマキラー カダン 除草王シリーズ オールキラー粒剤 | 1年生雑草にはじまり多年生雑草、そしてヨモギ、ススキ、セイタカアワダチソウ、ササといった枯れにくい雑草にいたるまで、しっかりと枯れさせる除草剤。 | 成分については記載なし |
レインボー薬品 シバキープPro 顆粒水和剤 | 西洋芝の庭でよく見かけるベントグラスやバミューダグラス、ケンタッキーブルーグラスにも適した除草剤。 | 成分については記載なし |
丸和バイオケミカル MCPP液剤 | クローバーなど、西洋芝とともに育ちやすい広葉雑草や、スギナを始めとする日本芝によく見られる、生育期の雑草に有効な商品。 | 成分については記載なし |
シバキーププラスα | ゴルフ場で使われている人やペットへの安全性が高い除草成分を家庭用に初めて配合した製品。肥料成分も加え、除草剤でありながら芝生の生育をやさしく促す。 | 人やペットへの安全性が高い |
トヨチュー お子様やペットがいても使える除草剤 | お酢の除草液。 | お酢の除草液なのでお子さんやペットがいても安心して使うことができる |
ドリーム 庭師さんのミネラル除草液 | 100%天然成分でできており、無農薬。 | 人畜無害 |
アースガーデン 除草剤 おうちの草コロリ | 食品成分生まれの除草剤。 | ペットがいても安心して使える |
草枯れちゃん | 完全無農薬の除草剤。 | 人やペットに優しい |
草取りバイオくん | 根まで枯らす除草剤。 | バイオパワーで、ペットにもお子さんにも安全 |
グリーンテック 子ども・ペットのために 安心して使える除草剤 | 食品・食品添加物・自然素材でできている。 | 食品・食品添加物・自然素材 |
芝生で遊ぶペットのための注意点
ペットが芝生で安全に遊ぶためには、以下の点に注意する必要があります。
- 夏場の地面の温度 夏場、直射日光に当たった芝生の表面は、高温になることがあります。特に、人工芝は熱を吸収しやすいため、注意が必要です。 ペットが遊ぶ前に、地面の温度を確認し、必要であれば打ち水をするなどして温度を下げましょう。
- 鋭利なもの 芝生の中に、ガラスの破片や鋭利な石などがあると、ペットが怪我をしてしまう可能性があります。ペットを遊ばせる前に、芝生の中に危険なものがないか確認しましょう。
- 農薬 肥料や除草剤を散布した後は、ペットが芝生に入るまでの時間を、製品の指示に従って守りましょう。
- ペットの体調 ペットの体調が悪い時や、暑い日は、無理に芝生で遊ばせないようにしましょう。
- ノミ・ダニ 芝生には、ノミやダニが生息していることがあります。ペットがノミやダニに刺されないように、定期的に駆除剤を使用するなどの対策をしましょう。
- 静電気 安価な人工芝では静電気が発生しやすくなる場合があります。静電気は、埃やノミ、ダニなどを引き寄せ、ペットの皮膚トラブルの原因となる可能性があります。
- 施工不良 人工芝の施工が不十分な場合、繋ぎ目が剥がれたり、隙間ができたりすることがあります。これにより、ペットが足を引っかけて転倒し、怪我をしてしまう可能性があります。
まとめ
ペットがいる家庭で芝生を管理するには、いくつかの注意点と対策が必要です。この記事で紹介したポイントを参考に、愛犬と芝生の上で安全に、そして快適に過ごせるように工夫しましょう。
- ペットの行動による影響を理解し、適切な対策を講じる。
- 犬は、足で芝生を踏みつけたり、尿で変色させたり、掘り返したりする可能性があります。
- 適切な対策を講じることで、これらの被害を最小限に抑えることができます。
- 尿や糞による被害を防ぐために、排泄物の処理やトイレスペースの設置などを検討する。
- 排尿直後に水をかける、専用のトイレスペースを作る、芝生の種類を選ぶ、人工芝を検討するなどの方法があります。
- 芝生を掘り返す場合は、原因を探り、対策を講じる。
- ストレスや退屈、本能的な行動、涼しい場所を求める、埋める習性などが考えられます。
- 十分な運動と遊び、掘り返しても良い場所を作る、掘り返し防止グッズを使う、人工芝を検討するなどの方法があります。
- ペットに安全な肥料や除草剤を選ぶ。
- 有機100%の肥料や、ペットが食べても無害な成分配合の肥料を選びましょう。
- 除草剤は、ペットに安全な成分のものを選び、散布後、ペットが芝生に入るまでの時間を守りましょう。
- 夏場の地面の温度や、鋭利なものなど、ペットが安全に遊べる環境を作る。
- 夏場には地面の温度が高くなるため、注意が必要です。
- 鋭利なものや農薬など、ペットにとって危険なものがないか確認しましょう。
結論
ペットと芝生は、正しく管理すれば、共に快適に過ごすことができます。ペットの安全と健康、そして芝生の状態を常に意識し、適切な対策を講じることで、ペットとの生活をより豊かにすることができるでしょう。
ペットとの生活に最適な芝生環境を作るために、以下の優先順位で対策を検討しましょう。
- ペットの安全確保:
- 鋭利なものを取り除き、農薬の使用には注意し、夏場は地面の温度に気を配りましょう。
- 人工芝の施工は、信頼できる業者に依頼し、施工不良による怪我を防ぎましょう。
- 芝生の健康維持:
- 尿や糞による被害を防ぐために、排泄物の処理、トイレスペースの設置、芝生の種類、人工芝の導入などを検討しましょう。
- 快適な環境:
- 十分な運動と遊びを提供し、ペットがストレスをためないようにしましょう。
- 必要に応じて、掘り返しても良い場所を設けたり、掘り返し防止グッズを使用したりしましょう。
- 持続可能な管理:
- ペットと環境に優しい肥料や除草剤を選び、芝生を健やかに保ちましょう。
この優先順位を参考に、それぞれの家庭の状況に合わせて、最適な芝生環境を作っていきましょう。