冬の寒さが和らぎ、少しずつ春の訪れを感じる3月は、芝生にとって活動を再開する大切な時期です。寒い冬を越えて休眠状態にあった芝生も、春に向けて徐々に新芽を出し始めます。この時期に適切な手入れを行えば、春から夏にかけて青々とした美しい芝生を維持することができます。本記事では、3月から始める芝生の手入れ方法について、具体的なステップとポイントを詳しく解説します。
芝生の春支度:3月の芝生の状態
まずは3月の芝生の状態を正しく理解することが大切です。冬の間に芝生は寒さで活動を止めており、葉は茶色や黄色に変色し、根の成長も緩やかになります。
1. 暖地型芝生と寒地型芝生の違い
- 暖地型芝生(高麗芝・ティフトン芝など):冬の間は休眠し、地上部が茶色く枯れたように見える状態です。3月に入り、気温が10℃を超える日が増えると徐々に新芽が出始めます。
- 寒地型芝生(西洋芝など):冬でも比較的緑を保つものの、生育は緩慢になります。春先になると徐々に葉や根が成長し始めます。
3月はまだ寒暖差が激しいため、芝生への負担がかからないように注意しながら手入れを進める必要があります。
2. 冬のダメージの影響
冬の間に芝生は雪や霜、乾燥、低温の影響を受けています。そのため、3月の段階では、以下のような症状が見られることがあります。
- 葉が部分的に枯れている
- 土壌が固くなり、通気性が悪化している
- 病害虫の越冬による影響が見え始めている
これらの状態を回復させるために、3月から少しずつ手入れを始めることが重要です。
3月から始める芝生の手入れ方法
3月は芝生が完全に活動を再開する準備期間です。この時期の手入れは、主に「回復」「準備」「予防」に分けられます。以下に具体的なステップを紹介します。
1. 芝刈り:古い葉を取り除く
冬の間に枯れた葉や雑草が芝生の表面に残っていると、新しい芽が成長しにくくなります。3月下旬には、芝刈りを行いましょう。
- 芝刈りのタイミング:気温が安定し、新芽が少しずつ出始めた頃
- 刈高の目安:高麗芝なら20mm程度に刈り込み、寒地型芝生は少し高め(30~40mm)に保つ
芝刈りを行うことで、芝生の通気性が改善され、新芽の成長が促されます。また、枯れ葉や雑草を取り除くことで病害虫の発生を予防する効果も期待できます。
2. サッチの除去:通気性を改善
サッチとは、枯れた芝生の葉や茎、根が堆積したもので、芝生の表面を覆っている層のことです。サッチが厚くなると、通気性が悪化し、水分や栄養が芝生の根に行き渡りにくくなります。
- 方法:熊手やサッチ取り専用のレーキを使い、芝生の表面を優しくかき取る
- 効果:通気性の向上、根の成長促進、病害虫の予防
特に3月の初期にサッチを取り除いておくと、その後の芝生管理がスムーズになります。
3. エアレーション:根に酸素を供給
冬の間に土壌が固くなり、根が酸素を取り込みにくくなっています。エアレーションを行うことで、根への酸素供給を改善し、芝生の成長を助けます。
- 方法:スパイクローラーや穴あけ器を使い、芝生に小さな穴を開ける
- 実施タイミング:3月中旬~下旬
エアレーション後は、穴に目土を入れて表面を均し、芝生の根が伸びやすい環境を整えましょう。
4. 施肥:春の成長をサポート
3月は芝生の成長を促すために、適切な肥料を与える時期です。特に窒素分を含んだ肥料を施すことで、新芽の成長を助け、芝生全体を緑化します。
- 使用する肥料:緩効性の化成肥料(窒素・リン酸・カリウムがバランスよく含まれたもの)
- 散布の目安:1㎡あたり20~30g程度
- 施肥後の水やり:たっぷりと水やりをして、肥料が土中に浸透するようにします
肥料を適切に与えることで、春以降の成長が安定し、美しい芝生を維持できます。
5. 病害虫の予防
3月は病害虫が活動を始める時期でもあります。特に越冬したコガネムシの幼虫や、サビ病・赤葉腐病などの病気が発生しやすくなるため、予防策を講じましょう。
- 殺菌剤や殺虫剤の散布:発生が予想される箇所に薬剤を散布
- 芝生の観察:枯れた部分や異変がないか定期的にチェック
早期に対策を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。
3月の手入れが春以降の芝生の健康を決める
3月の芝生の手入れは、冬のダメージを回復させ、春からの成長をサポートするために欠かせない作業です。具体的には、以下の手順を実践しましょう。
- 芝刈りで古い葉を取り除き、通気性を改善する
- サッチの除去やエアレーションで根に酸素を供給する
- 施肥で芝生の栄養補給を行い、成長を促す
- 病害虫予防でトラブルを未然に防ぐ
これらの作業を丁寧に行うことで、春から夏にかけて青々とした健康な芝生を維持することができます。3月は芝生が目覚める大切な時期ですので、日々の観察を怠らず、適切な手入れを心掛けましょう。今年の春は、美しい芝生で心地よい空間を楽しんでください。