はじめに
青々とした美しい芝生は、庭に安らぎと開放感をもたらします。
しかし、芝生を植えるには、事前の準備が非常に重要です。
適切な準備を行うことで、芝生の生育を促進し、美しい芝生を長く楽しむことができます。
この記事では、芝生を植える前の準備について、以下の項目に沿って詳しく解説し、最後に準備のチェックリストをまとめます。
芝生を植えるのに適した時期
芝生を植えるのに適した時期は、春と秋です。
春の芝張り
- メリット
- 芝生の根が伸びやすく、根付きやすい。
- 梅雨の時期に自然の雨を利用できるため、水やりの手間が省ける。
- 夏までに根がしっかりと張るため、夏の暑さにも耐えやすい。
- 注意点
- 夏前に根付くように、水やりを適切に行う。
秋の芝張り
- メリット
- 春に向けて芝生が成長するため、春には青々とした芝生を楽しめる。
- 病害の被害が少ない。
- 注意点
- 冬になる前にしっかりと根付かせる。
夏と冬の芝張り
夏と冬は、芝生を植えるのにあまり適していません。
- 夏の芝張り
- 気温が高く乾燥しやすいため、水やりを頻繁に行う必要がある。
- 冬の芝張り
- 寒さにより根付くまでに時間がかかる。
- 芝生が根付くまで踏まないようにする必要があるため、庭に出る機会が制限される。
土壌の準備
必要な土壌の種類と入手方法
芝生を植えるには、水はけのよい土壌が適しています。
具体的には、砂壌土と呼ばれる、砂と土が適度に混ざった土壌が理想です。
砂壌土は、水はけがよく、保水性も適度にあるため、芝生の生育に最適な環境を提供します。
芝生を植える際に使用する土壌は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 芝生用土: 芝生の成長に必要な栄養分を豊富に含んでおり、水はけと保水性のバランスが良い土です。初心者でも扱いやすい反面、一般的な土よりも高価になる可能性があります。
- 砂: 水はけが非常に良く、湿気が多い地域や雨の多い時期でも根腐れを防ぐことができます。川砂がよく用いられます。
- 黒土: 有機質が豊富で、水はけと保水性に優れています。栄養分をしっかり芝生に供給できるため、成長促進効果も期待できます。ただし、土壌が沈下しやすいため、定期的な補充が必要になる可能性があります。
入手方法としては、以下の方法があります。
- ホームセンターや園芸店で購入する。
- 庭土に砂を混ぜて調整する。
- 培養土や畑の土を混ぜる。
この他に、目土と呼ばれる、芝生の上に被せるための土も必要となります。 目土は、土壌の調整や表面の凹凸を整える効果があります。
土壌の改良方法
水はけの改善
水はけが悪い土壌の場合、以下の方法で水はけを改善することができます。
- 砂を混ぜる
- 川砂などを混ぜることで、土壌の隙間を増やし、水はけを良くします。
- 元の土壌に対して、3~5割程度の割合で混ぜるのが目安です。
- パーライトを混ぜる
- パーライトは、火山岩を高温で処理して作られた、軽量で多孔質な土壌改良材です。
- 土壌に混ぜることで、通気性と排水性を向上させます。
- 堆肥を混ぜる
- 堆肥は、有機物を分解して作られた、栄養豊富な土壌改良材です。
- 土壌に混ぜることで、保水性、保肥性、通気性を高めます。
- 暗渠排水
- 地中にパイプを埋設して、地下水を排水する方法です。
- 水はけが極端に悪い場合に有効です。
pH調整
芝生は、弱酸性から中性の土壌を好みます。
土壌のpHが酸性すぎる場合は、石灰を混ぜて中和します。
逆に、アルカリ性すぎる場合は、ピートモスなどを混ぜて酸性側に調整します。
雑草や石の除去方法
芝生を植える前に、土壌中の雑草や石は、必ず除去しておきましょう。
- 雑草の除去
- 手で抜く。
- 除草剤を使用する。
- 除草剤を使用する場合は、芝生に影響のないタイプのものを選びましょう。
- 石の除去
- 手で拾う。
- ふるいにかけて取り除く。
土壌の準備の最後に、地面を平らにならし、ローラーなどで踏み固めておくことも重要です。
芝生の種類
芝生には、大きく分けて日本芝と西洋芝の2種類があります。
さらに、生育するのに適した温度帯によって、暖地型と寒地型に分けられます。
種類 | 特徴 | 適した地域 | 耐寒性 | 耐暑性 | 耐陰性 |
---|---|---|---|---|---|
日本芝(暖地型) | 高温多湿に強く、病害虫にも強い。冬は休眠して茶色くなる。 | 関東以西 | 弱 | 強 | 強 |
西洋芝(寒地型) | 寒さに強く、冬でも緑色を保つ。 | 北海道、東北地方 | 強 | 弱 | 弱 |
代表的な芝生の種類
- 高麗芝(日本芝)
- 日本で最も一般的な芝生。
- 丈夫で育てやすく、乾燥にも強い。
- 野芝(日本芝)
- 踏圧に強く、寒さにも強い。
- ゴルフ場のラフなどに使用される。
- ケンタッキーブルーグラス(西洋芝)
- 緑色が濃く、美しい芝生。
- 寒さに強く、踏圧にも強い。
- ベントグラス(西洋芝)
- 葉が細く、密度の高い芝生。
- ゴルフ場のグリーンなどに使用される。
また、数種類の芝を混合した混合芝もあり、一年を通して緑色を保つことができます。
芝生の植え方
芝生の植え方には、種まき、ソッド(芝生をマット状に育てたもの)、苗植えの3つの方法があります。
種まき
- 方法
- 土壌を耕し、整地する。
- 種を均一にまく。
- 薄く土をかぶせる。
- 水やりをする。
- メリット
- コストが安い。
- 土壌に適応した芝生を育てられる。
- デメリット
- 生え揃うまでに時間がかかる。
- 密度にムラが出やすい。
- 雑草が生えやすい。
芝生の種まきは、芝の種類によって適した時期が異なります。 暖地型芝生は種まきに向かないものが多く、寒地型芝生は発芽適温が15℃以上です。
芝生の密度を高めるために、オーバーシーディングを行うこともできます。 オーバーシーディングとは、既存の芝生に別の種類の芝生の種をまくことで、密度を高めたり、芝生の状態を改善したりする方法です。
ソッド
- 方法
- 土壌を耕し、整地する。
- ソッドを並べる。
- 目土をする。
- 水やりをする。
- メリット
- すぐに芝生を楽しめる。
- 失敗が少ない。
- デメリット
- コストが高い。
- 種類が限られる。
ソッドを並べる際には、目地張り、平張り、千鳥張りなどの方法があります。
- 目地張り: ソッド同士の間に隙間を空けて張る方法。
- 平張り: ソッド同士を隙間なく張る方法。
- 千鳥張り: ソッドを互い違いに張る方法。
芝生を張る場所や目的に合わせて、適切な方法を選びましょう。
また、芝生が他の場所に広がらないように、エッジと呼ばれる仕切りを設置することもできます。
苗植え
- 方法
- 土壌を耕し、整地する。
- 苗を植える。
- 水やりをする。
- メリット
- 種まきよりも早く芝生を楽しめる。
- ソッドよりも種類が多い。
- デメリット
- 種まきよりもコストが高い。
- ソッドよりも手間がかかる。
植え付けに必要な道具
芝生の植え付けには、以下の道具があると便利です。
- 芝刈り機
- 芝生を刈り込むために使用します。
- 手動式、電動式、エンジン式などがあります。
- レーキ(熊手)
- 土壌を平らにならしたり、刈り取った芝生を集めたりするために使用します。
- スコップ
- 土壌を耕したり、穴を掘ったりするために使用します。
- トンボ
- 土壌の表面を平らにならすために使用します。
- 板
- 土壌を踏み固めたり、ソッドを圧着したりするために使用します。
- 水平器
- 土壌の傾斜を調整するために使用します。
- ターフカッター
- ソッドをカットするために使用します。
- ふるい
- 土壌から石やゴミを取り除くために使用します。
- 散水ホース
- 水やりをするために使用します。
- シャワーヘッドが付いているものが便利です。
- 目土
- 芝生の隙間を埋めたり、凹凸を調整したりするために使用します。
- 川砂や芝生用の土などが使用されます。
- 肥料
- 芝生の生育を促進するために使用します。
- 芝生用の肥料を選びましょう。
- ローンスパイク
- 芝生に穴を開けて、空気や水、肥料の通りを良くするエアレーションという作業に使用します。
植え付け後の管理
水やり方法と頻度
芝生は、乾燥に弱いため、水やりは非常に重要です。
特に、植え付け直後は、根がしっかりと張っていないため、こまめな水やりが必要です。
水やりのポイント
- 時間帯:朝の涼しい時間帯に行う。
- 頻度:土壌の表面が乾いたら水やりをする。
- 春と秋:3~4日に1回程度
- 夏:毎日
- 冬:基本的には不要
- 水量:たっぷりと水を与える。
- 1㎡あたり10~20リットル程度が目安。
- 芝生の根は水を求めて伸びる性質があるため、深くまで水が届くようにたっぷりと水やりをすることが重要です。
- その他
- 水やりをしすぎると、根腐れを起こす可能性があります。 芝生の葉先が丸まっていたり、葉がしおれていたら、水切れのサインです。
- 雨量計を使用して、芝生にどれくらいの水が供給されているかを確認しましょう。
肥料の種類と与え方
芝生の生育を促進するためには、肥料が必要です。
芝生には、芝生専用の肥料を使用しましょう。
肥料の種類
- 固形肥料
- 肥料効果が1~2ヶ月持続する。
- 元肥や追肥に使用する。
- 液体肥料
- 速効性がある。
- 生育を促進したい場合に使用する。
- 緩効性肥料
- 効果が現れるまでに時間がかかる肥料。
- マグァンプKなどのように、肥料焼けを起こしにくいものが ある。
肥料の与え方
- 時期:生育期(春~秋)に与える。
- 頻度:肥料の種類や芝生の状態によって異なる。
- 固形肥料:1~2ヶ月に1回程度
- 液体肥料:週に1回程度
- 量:肥料の種類や芝生の状態によって異なる。
病害虫対策
芝生には、さまざまな病害虫が発生する可能性があります。
病害虫の発生を防ぐためには、日頃から芝生の状態を観察し、適切な対策を講じることが重要です。
主な病害虫
- 病気
- 糸状菌(カビ)による病気:
- ラージパッチ
- フェアリーリング病
- 春はげ症
- さび病
- ブラウンパッチ
- 雪腐病
- いもち病
- 葉枯性病害
- 炭疽病
- ダラースポット
- 葉腐病
- カーブラリア葉枯病
- これらの病気は、カビの胞子が風や水で運ばれたり、 芝刈り機などに付着して広がったりすることで感染します。
- 糸状菌(カビ)による病気:
- 害虫
- 葉を食べる害虫:
- スジキリヨトウ
- シバツトガ
- 根を食べる害虫:
- コガネムシ
- ネキリムシ
- その他:
- アリ
- 葉を食べる害虫:
病害虫対策
- 殺菌剤
- 病気の発生を防ぐために、殺菌剤を散布する。
- グラステン水和剤、トップグラス、ユニゾン水和剤など、さまざまな種類の殺菌剤がある。
- 殺虫剤
- 害虫を駆除するために、殺虫剤を散布する。
- スミチオン乳剤、オルトラン粒剤など、さまざまな種類の殺虫剤がある。
- 環境改善
- 日当たりや水はけを良くする。
- サッチを取り除く。
- 芝生を健康な状態に保つことで、害虫の発生を抑制することができます。
芝生を植える前の準備チェックリスト
項目 | 内容 | 完了 |
---|---|---|
時期 | 春または秋に植える | □ |
土壌 | 水はけのよい土壌を用意する | □ |
土壌改良 | 水はけが悪い場合は、砂やパーライトなどを混ぜて改良する | □ |
pH調整 | 土壌のpHを弱酸性から中性に調整する | □ |
雑草・石の除去 | 雑草や石を取り除く | □ |
芝生の種類 | 環境に適した芝生の種類を選ぶ | □ |
植え方 | 種まき、ソッド、苗植えから適切な方法を選ぶ | □ |
道具 | 必要な道具を揃える | □ |
結論
この記事では、芝生を植える前の準備について解説しました。
芝生を植えることは、決して簡単な作業ではありませんが、事前の準備をしっかりと行うことで、美しい芝生を長く楽しむことができます。
今回の記事を参考にして、芝生を植えるための準備をしっかりと行い、芝生のある快適な生活を実現してください。 より深く芝生のことを知りたい場合は、ホームセンターや園芸店に 足を運んでみるのも良いでしょう。